夏期講習は受講した方が良い?内容や費用、受講することのメリットについて解説
各予備校や塾では、6月頃になると夏期講習の申し込み受付がスタートします。1学期の勉強の様子を見て、「夏休みは勉強させなければ…」と考えている保護者様もいらっしゃるでしょう。また受験学年のみなさんは夏休みをいかに有効活用するかが志望校合格の大きなカギを握ります。夏期講習に参加することで、苦手科目・単元を克服したり、得意を伸ばしたりして成績向上が期待できます。
そこで今回は、夏期講習の内容や気になる費用、受講することのメリットなどを解説していきます。
目次
1. 【夏期講習とは】
夏期講習とは、夏休みの一定期間に集中して勉強するために各予備校や塾で実施される特別講習のことです。一般的には通常の授業とは別に開催され、すでに塾に通っている人でも改めて申し込みをする必要があります。
夏期講習と一口にいっても、その内容は様々です。カリキュラムの内容はもちろん、日程や費用、指導方法も異なります。子供の目的や状況にあった夏期講習を選ぶ必要があります。
1-1. <夏期講習の内容・目的>
夏期講習の内容・目的は大きく分けると4つあります。それぞれの学習目的に合った講習会を実施している塾・予備校を選ぶとよいでしょう。
1-1-1. ①1学期の復習をする
新学年に入り、新しいクラスに慣れることや行事に参加することなどで忙しく、なかなか勉強に集中できなかったり、難しくなった授業についていけなかったりするという子供も少なくありません。また1学期は何とか乗り切ったつもりでも、2学期になって内容を忘れてしまっては知識の土台が弱くなってしまいます。1学期の内容をしっかりと復習できる夏期講習会で確実に身につけておくことができれば、2学期以降の勉強にもはずみがつくでしょう。
1-1-2. ②2学期以降の予習をする
2学期以降に学ぶ内容を予習することを目的としたカリキュラムもあります。1学期の授業の理解が十分で、テストでも良い成績が取れている場合はこうしたコースを検討すると良いですね。いわゆる進学塾と呼ばれる塾で実施されることが多いです。
夏期講習で2学期の予習をしておくことで、余裕を持って学校の授業を受けられるようになります。授業がスムーズに理解できれば自信もつきますし、勉強が楽しいという気持ちも芽生えやすいです。こうした土台ができていれば、今後の勉強にも良い影響が与えられます。また、2学期には文化祭や体育祭などの行事がたくさん開催されたり、部活動の大きな大会が開催されたりしますので、予習を済ませておくことで両立しやすくなるでしょう。
1-1-3. ③苦手分野の克服をする
苦手な分野・単元を何とかしたいと思っていても、学校の授業が進行しているときはそちらの内容を理解するのに手いっぱいだと思います。夏休み中は学校の授業がストップしているため、これまでの振り返りを行う絶好のチャンスです。苦手をそのままにしていた分野については、じっくり時間をかけて理解し、自信につなげていく必要があります。その点夏休みは時間に余裕があるため、繰り返し授業を受け演習を行うことで、苦手克服にはもってこいです。カリキュラムが決められている集団形式の授業よりも、受講したい科目や単元、回数が比較的自由に設定できる個別形式の夏期講習を受講するとよいでしょう。
1-1-4. ④受験の対策をする
受験生にとって夏休みは非常に重要です。この時間を有効に使うことが、志望校合格への大きな一歩になります。そのため、受験生の夏はこれまでの総復習や入試問題演習など、受験対策のコースを受講するのが一般的といえます。 各予備校や塾では学力レベルや志望校に合わせたコース、弱点を克服するオーダーメイド型のカリキュラムなど、一口に受験対策コースといっても幅広いコースがあります。まだ基礎に不安があるという場合には、夏休みが基礎固めの最後のチャンス。無理に過去問や演習問題に取り組む夏期講習に参加するのではなく、今必要な勉強ができるコースを選ぶことが大切です。
塾によっては宿泊施設で合宿を行ったり、塾の卒業生を集めて座談会を開催したりするなど、モチベーションを高めるようなプログラムを用意しているところもあります。
1-2. <夏期講習の開催時期>
一般的には、夏休み期間である7月中旬から8月下旬にかけて開催されます。
夏休み期間中を全て使って実施されるコースもあれば、1週間や2週間といった短期間で開催しているところもあります。受験対策コースでは、お盆休み中も休みなく実施されるものもあります。
申し込み期間は6月中旬から7月中旬が多いですが、6月上旬からスタートすることもあります。また、人気の予備校や塾では申し込み開始早々に満員となって申し込みを終了してしまうケースもありますので、早めに情報収集を行い、受講したい塾やコースを決めるようにしておきましょう。
1-3. <夏期講習の受講方法>
すでに塾に通っている場合は、その塾の中の夏期講習コースに申し込むのが一般的です。
また、多くの塾では夏期講習のみ参加できる場合が多いですので、普段は塾に通っていないけれど、夏期講習だけ参加したいといった場合でも可能です。夏期講習を通じて塾や予備校の雰囲気、授業の質、学習環境をリアルに体験することができるので、そのまま入会する人も非常に多いです。
1-4. <夏期講習の費用相場>
夏期講習の費用は指導形態、学年や目的、受講期間によって大きく異なります。ここでは大まかな指導形態ごとに小学校、中学校、高校、それぞれの費用相場をご紹介します。
1-4-1. 小学生の夏期講習
小学生の場合、受験を目指す子供とそうではない子供がおり、受験対策する進学塾と授業の予習復習を行う補習塾に分かれています。
進学塾の方が補習塾よりも費用が高く、特に中学受験に向けた対策を行う6年生向けの夏期講習はより高い費用がかかる場合がほとんどです。
・進学塾 5〜15万円程度
※6年生の受験対策の場合は、16〜20万円程度
・補習塾 2〜5万円程度
1-4-2. 中学生の夏期講習
中学生になると、集団指導か個別指導かによって費用の差が出てきます。小学生同様に、受験の年である3年生は学習量が増えるため、より高い費用がかかる場合がほとんどです。
個別指導コースでは、ひとりひとりに合わせたきめ細やかな指導を受けられる分、その費用は高くなります。
・集団指導塾
1・2年生:3~6万円
※受験学年である3年生は8~10万円
・ 個別指導塾
1・2年生:6~9万円
※受験学年である3年生は10~30万円
1-4-3. 高校生の夏期講習
高校生についても、集団指導か個別指導かによって費用の差が出てきます。小・中学生同様に、受験学年である3年生はより受講する内容が増えるため費用もその分かかってきます。また高校生は予備校も選択肢に加わりますので、それぞれの特長と費用を合わせて検討する必要があります。
・集団指導塾
1・2年生:5~10万円
※受験学年である3年生は7~15万円
・ 個別指導塾
1・2年生:6~15万円
※受験学年である3年生は10~22万円
1-4-4. その他費用について
集団指導の場合、夏期講習の費用にテキスト代などは基本的に含まれていますが、個別指導の場合は個々に合ったテキストなどの購入が必要になるケースもあります。また、朝から晩まで勉強するとなると、昼食・夕食代などの食費もかかってきます。遠方の塾に通う場合は交通費も必要になりますので、こうした費用も念頭に入れておきましょう。
2. 【夏期講習に参加するメリット】
お金をかけてでも夏期講習に参加する人が多いのは、それだけメリットが多いから。
この章では、夏期講習に参加することのメリットをご紹介します。
2-1. <じっくりと時間をかけて勉強ができる>
夏休みは長く、時間がたっぷりとあります。復習をするにしても、予習をするにしても、受験対策をするにしても、じっくりと時間をかけて取り組むことができるのは大きなメリットです。また、同じ時間を使うにしても、自宅で一人勉強をするよりも効率的に勉強を進められる点もメリットです。
2-2. <快適な空間で学習習慣を継続できる>
学校のない夏休みは、家でダラダラしてしまいがちです。しかし夏期講習に参加することによって、決められた時間割で授業を受けることができるため、学校で身につけた学習習慣を継続できます。またクーラーの効いた、余計なもののない勉強に最適な空間で過ごすことができるのも大きなメリットです。
2-3. <分からないところを質問できる>
自宅で一人勉強していて一番困るのは、分からないところを質問できないことではないでしょうか。夏期講習に参加すれば講師がすぐ側にいる環境で勉強を進められます。授業がない時間も自習できる塾がほとんどであるため、その間手の空いている先生に質問して疑問を解消することもできます。
2-4. <周囲の刺激を受けられる>
夏期講習では、勉強しようという意思をもった人が集まっています。勉強をしていると集中力がきれたり、サボりたくなってしまったりすることもあると思いますが、他の受講生たちと夏期講習に参加することで刺激を受けて、モチベーションを高める効果が期待できます。特に受験生にとっては、一緒に頑張る仲間、ライバルがいることが良い刺激になるでしょう。
一方で、友達がいることで遊びたい気持ちが生まれてしまったり、ついついおしゃべりをしてしまったりといったことにならないように注意が必要です。
3. まとめ
夏期講習に参加することで、勉強の遅れを取り戻したり、実力を高めたりすることが期待できます。夏休みをどのように過ごすかで、今後の学習習慣や受験の結果に大きな影響を与えますから、夏休みを有意義に過ごすためにも夏期講習の参加は大きな価値があるのではないでしょうか。
お金もかかることですから、「友達がいるから」などと安易に決めてしまうのではなく、授業内容や日程、設備などをよく調べたり、実際に話を聞きに行ったりして、目的やタイプにあった夏期講習を選ぶようにしてくださいね。