【大学受験】志望校選びの6つのポイントとやってはいけない選び方
少子化が進む今の日本では「大学全入時代」へ突入したと言われており、進学先を高望みさえしなければ誰しもが大学へ入学できる状況となっています。23年度には全国私立大の53.3%が入学者の定員割れを起こしたことがニュースとなったのも記憶に新しいのではないでしょうか。しかし、当然ながら多くの受験生は「どこでもいいから入学したい」などと思っているわけではなく、入学してからの4年間をより充実した、濃い時間にすることができる大学を選びたいと考えているはずです。では、どのような点に留意して志望校を絞り込み選択するべきなのか、また反対にやってはいけない選び方はどのようなものか、考えてみたいと思います。
目次
1. 志望校選びの6つのポイント
志望校を探す際にチェックすべきポイントはいくつかあります。何もかもが希望通り、という夢のようなキャンパスにはなかなか出会えないかもしれませんが、できるだけ理想に近い大学を選びたいものです。主なチェックポイントをお伝えします。
1-1. 学びたいことを学べる環境があるか
言わずもがな、学生の本分は勉強することです。中学や高校時代の勉強を通じて興味を持った分野があるのであれば、自身が4年間をかけて学びたいその学問を選択できる学部・学科があるのかどうか、またどんな講師から教わることができるのか。これをいの一番にしっかり調べるべきでしょう。最近では学生から人気のキーワード(例えば「国際」「グローバル」や「環境」など)を学部・学科名に入れて改名するような大学も増えており、一見するだけではその中身まではわからないケースもあります。例えば国際関係の学部だとしても、海外への留学が必須となる学部もあれば、まったくカリキュラムには含まれない学部もあります。イメージだけで安易に決めないようにしてください。
1-2. 物理的なハードルをクリアできるか
大学へ進学するとなると、決して少なくはない学費が必要となります。国立・公立と私立、理系と文系とでそれぞれかかる学費は大きく異なりますので、ご家庭でしっかり相談することが必要です。また、志望校の立地についても入念な下調べをすべきです。自宅から通うことができるのか、通うとすれば通学時間はどれ程かかるのか。長い期間、毎日通い続けることになる通学路ですから、できれば実際に一度そのルートで移動してみることをお勧めします。また、下宿しなければならない遠距離であれば近隣の家賃相場や治安状況など、その町に住むとなった場合の環境について確認しておく必要があります。奨学金を利用したいと考えるならば、大学で利用できる制度があるのかどうかは要チェックです。せっかく合格・入学したまではよかったけれど、学費を支払い続けることができずに泣く泣く退学する…なんてことにならないためにも、シミュレーションをしておきましょう。
1-3. どのような入試方法があるか
ひと昔前とは異なり、少子化の影響で各大学とも受験者の確保に力を入れています。そのため、一般選抜方式以外にも総合型と呼ばれる形式(旧AO入試)、学校推薦型入試があり、私立大学では実に半数以上が総合型選抜か学校推薦型選抜方式を採用しています。最近では私立のみならず、国立大の一部でも総合型選抜方式が定着してきました。単なる偏差値だけに左右されないような、小論文やエッセイの提出、自己プレゼンテーションを課す方式を採用している大学も少しずつ増えてきました。
受験勉強を頑張ってきた中で、模試の結果が合格圏内となる志望校があればそのまま一般選抜で臨めばよいですが、自分の得意領域で勝負できる受験方式がある大学の中に興味を持てるところがあれば、一般以外の方式も選択肢に入れてもよいのではないでしょうか。
1-4. キャンパスの雰囲気・環境
なんといっても毎日通うことになるキャンパスの雰囲気が好きになれるかどうか、これは抽象的な要素ではありますがとても大切です。大学のキャンパスライフとひと口に言っても、大学ごとにカラーは大きく異なります。学生の本文である学問に重きを置いて、厳しいカリキュラムに臨む学生がたくさん存在する大学もあれば、スポーツに力を入れてプロ顔負けの設備を整えている大学だってあります。何を求めるのか、どんな雰囲気でどんな環境の中で学ぶことができそうか、しっかり確認してくださいね。
オープンキャンパスや学校説明会といった機会があれば、実際に足を運んでみてそれらを肌で感じ取ることができるでしょう。実際にその大学に通っている先輩大学生から直接お話を聞かせてもらえる機会があれば、より詳しく知ることができるはずです。ただし!オープンキャンパスなどの場では、当然ながらその大学の「いいところ」だけをアピールされるのは致し方ないところです。マイナス点に関しては個別質問するなどの方法で補完してくださいね。
大学というのは不思議なもので、卒業してから何年、何十年と経っても自分は**大学へ通っていた、という誇りの感情は褪せないものです。もちろん入学する前からそんな感情を推し図ることなど不可能ですが、やはりその大学を好きになれそうかどうか、は何度も自分の胸に問いかけてみてほしいです。
1-5. 就職実績はどうなっているか
過去に卒業生がどのような企業へ就職できたのか。実際の就職率はどの程度なのか。キャリアセンターでのサポートは実際にどれ位まで手厚く指導してもらえるのか。少子化で就職活動が昔よりも学生優位になったとはいえ、人気企業への壁は依然として高く険しいままです。特に興味のある業界が決まっている方は、そのような学問が学べるのかということに併せて、その知識を活かした仕事への就職が可能かどうか、調べてみると良いでしょう。キャリアセンターの有無と、ある場合でも力の入れ具合によって就活生へのサポート度合いは違ってきます。卒業生の進路にまで責任を持って支援してくれる大学を選ぶというのは賢い選択です。
1-6. 部活・サークルなどの課外活動ができるか
大学生の本分は学業であるとお伝えしましたが、もちろん勉強「だけ」だというわけではありません。4年間通う中で、自己成長を実現できる部活やサークルに入り、大学生生活をより充実したものにするのは素晴らしい取り組みです。例えばスポーツであればどのレベルで競技に参加したいのか、体育会なのかサークルなのか、それぞれのレベルや大会での実績はどんなものなのか。ホームページなどで簡単に調べられることも多いと思います。
せっかく憧れの大学に入学して、やりたかった競技の部活に入部しようとしたら「スポーツ推薦組以外のウォークオン(一般入部)は採用していない」と断られてしまった…などというケースも実際にあります。入学してからそのようなことを突きつけられてしまうなんて、悲劇でしかありません…そうならないためにも、しっかり調べておいてください。
2. 後悔しないために…やってはいけない選び方
全国には800校近くの大学が存在しますので、これまでにお伝えしたポイントに気をつけながら志望校を少しずつ絞り込んでいただきたいと思いますが、あまりおすすめできない選び方をしてしまう高校生も中にはいます。卒業してから“なぜ、この大学を選んでしまったのだろう”と後悔しないために、選び方には十分気をつけていただきたいと思います。以下に列記します。
2-1. 有名な大学だから
大学名だけで安易に選んでしまうというのは、やはり悪手と言わざるを得ません。もちろん名の通った大学=各分野で評価されている大学という実績はあると思います。しかし、なんとなく“質の高い勉強ができそうだから”とか“なんだかんだ言ってもいい就職先が見つかるだろう”とか、イメージだけが先行してしまって実際に自分が学びたい勉強ができるのかどうかも知らないままだと、大きな後悔に繋がる可能性があります。
2-2. 親や教師に勧められたから
皆さんの保護者様にとってみれば、「少しでもいい大学へ合格してほしい」、そしてその先には「少しでもいい会社へ就職してほしい」という願望があります。それが、かわいい我が子が幸せに近づく最良の方法だと信じているからです。また、学校の先生や予備校のチューターは、確実に合格できる圏内の大学を薦めてくることが多いです。背伸びしてでもチャレンジしたい大学が見つかる可能性を最初から葬り去ってしまうのは、あまりにももったいないと感じてしまいます。
また、仮に親や先生からの推薦通りの大学を受験して合格したとしても、自らの意思で選んだわけではないというエクスキューズは、ことある度に頭をもたげることになるかもしれません。「こんな大学、入りたくて入ったわけじゃないのに」なんてひねくれてみても、過ぎた時間は戻ってこないのです。
2-3. 現在の学力で安全圏と言えるから
受験はもちろん合格することが最大の目的ですが、だからといって「とにかく受かる大学へ行く」という思考は、一見合理的なようで実に割に合わない選択ではないでしょうか。そこには自分が行きたい、学びたいという前向きな意思がなく、ただ大学生になることを目的に置いてしまうことになるからです。大学生になることは目的ではなく、大学生になって**したい、という自己実現のための手段であるべきです。やりたいことが思い浮かばない大学へ何校合格しても、それは価値のある合格とはならないのではないかと思います。
3. まとめ
大学生といえば大人と子供の狭間、モラトリアム期間の最後の4年間という捉え方もできるのではないかと思います。学費も保護者の方に出してもらう方がほとんどだと思いますが、それでももう大人への入口に差し掛かっている年代です。自分の進路は、他の誰でもない自分の意思で決めて前に進む気概を持っていただきたいものです。
「自分で決めた」志望校であれば熱量は高まるでしょうし、受験勉強にも身が入るはずですからね。大好きになれる大学がみつかるよう、頑張って探してみてください。