【大学受験】まずは知っておきたい大学受験の仕組みについて徹底解説
何事にも仕組みを知り、全体像を把握することは、その物事を最適な形で進めていくために非常に重要です。
今回は、「大学への進学を考えていて、大学受験の仕組みを知っておきたい」という方のために、入試の基本的な仕組みを解説します。ご参考になれば幸いです。
目次
1. 大学受験の種類
大学受験の種類は、大きく分けて『一般選抜』『総合型選抜』『学校推薦型選抜』の3つがあります。さらに、これらの受験方式の中でも、大学入試センターが実施する『大学入学共通テスト』(通称、共通テスト)と、それぞれの大学が独自に実施する『個別試験』(2次試験)の2種類があります。
国公立大学、私立大学ともに上記3種類の方法が行われますが、何が重視されるのか、2次試験はあるのか、出願できるのは何校までなのか等、それぞれに違いがあるので順番に解説していきます。
2. 大学入学共通テスト(共通テスト)について
まずは、大学受験の基礎となる大学入学共通テストについてご紹介します。 大学入学共通テストとは、高校のカリキュラムにおける基礎的な学習の達成度を判定することを主な目的とする試験です。毎年1月中旬に2日間にわたって行われ、2024年は1月13日〜14日に実施されました。冬季に行われるため、毎年積雪量の多い地域では公共交通機関が機能しなくなり遅刻してしまう学生が発生するといった問題が続出しており、時期の見直しをすべきだという議論も毎年のように湧き起こっていますが、4月始まり、3月終わりという日本の年度スケジュールが変わらない限りは大きく変えるのは難しそうです。
回答は全てマークシート方式となり国語、地理歴史、公民、数学、理科、外国語の中から志望校が指定する教科・科目を選択して受験します。
国公立大学では、大学入学共通テストと各校が出す個別試験の両方を受験しなければならない場合がほとんどですが、私立大学の大学入学共通テストを利用した入試には『単独型』と『併用型』という受験方式が存在します。『単独型』とは、共通テストの成績のみで合否を決める入試方式で、『併用型』とは、大学入学共通テストとそれぞれの大学が独自に実施する個別試験の成績を合わせて合否を決める入試方式です。
2-1. 『単独型』について
私立大学の多くが単独型を採用しています。単独型を受験するメリットとしては、各大学独自の対策を取る必要がないという点と、大学入学共通テストさえ受験すれば多くの大学に同時に出願できるという点が挙げられます。しかし、手軽に受験できる分、志望人数が増え倍率が高くなることも多いため、この入試方式の大学のみを出願するのはリスクが高くなります。あくまで受験のチャンスを広げる1つの選択肢として考えておきましょう。
2-2. 『併用型』について
併用型の受験を選ぶメリットは、単独型とは異なり、大学入学共通テストだけでなく各大学の個別試験の得点も合わせて合否を判定されるため、仮に大学入学共通テストの出来がよくなかったとしても、個別試験で高得点を取る事ができれば逆転合格するチャンスがあるという点です。しかし、共通テストの対策と同時に個別試験の対策を行う必要が出てきますので、受験者の負担が大きくなってしまうというデメリットもあります。
2-3. 大学入学共通テストの教科数
大学入学共通テストでは、基本的に5教科7科目が課されますが、一部の大学では6教科8科目を課すケースもあります。教科数が多いため、例えば文系の学生でも数学の勉強をしなくてはならないという点は負担になってきます。
2-4. 教科ごとの配点
教科ごとの配点は大学によって異なりますが、専攻する学問に関する教科の配点が高くなっているパターンがよく見られます。文系学部では、国語や社会、英語の配点が高くなっているケースが多いです。
2-5. 日程について
1月中旬に行われる大学入学共通テストを受験し、その結果をふまえたうえで各大学の個別試験に出願します。前期日程は2月下旬で、中期日程(一部の大学)、後期日程は3月の上旬に行われます。
個別試験の出願期間は、大学入学共通テストの約1週間後から約10日間程度となります。 期待していた得点が取れなかった場合、出願する大学を変更する必要が出てくる可能性もありますので、出願時に慌てないためにも、あらかじめ複数のパターンを用意しておくことが大切です。
3. 4種類の選抜方式について
この記事の最初に、大学受験は大きく分けて3種類あるとお伝えしましたが、一般選抜は国公立大学と私立大学で受験する教科や日程などにそれぞれ違いがありますので、
1.一般選抜(国公立大学)
2.一般選抜(私立大学)
3.学校推薦型選抜
4.総合型選抜
の4つに分けて解説していきます。
3-1. 一般選抜(国公立大学)
国公立大学の一般選抜は、大学入学共通テストと、大学ごとに行われる個別試験の得点を合わせて合否を判定する『併用型』です。高校在学時の成績や学習態度が記された調査書なども合否の判断材料の1つですが、この入試方式では学力試験の結果が重視されるのが特徴です。個別試験は『前期日程』と『後期日程』、一部の大学では『中期日程』があり、それぞれ1校ずつ出願が可能です。
3-1-1. 前期日程と後期日程の違い
前期日程と後期日程の募集人数の比は大学によっても違いますが、およそ8:2で、前期日程の方が圧倒的に多いことが特徴です。 後期日程は募集人数が少ないうえ、前期に比べ筆記試験が少なく、面接や小論文が主となっているため、基本的には前期試験よりも難易度が高めと考えておきましょう。前期日程で落ちてしまった場合には、背水の陣の覚悟を持って、確実に合格するために1つ2つランクを落として出願する学生も増えるため、先に述べた内容もさることながら、総じて同じ大学の前期日程よりも競争倍率は激化するケースが多くなります。
3-2. 一般選抜(私立大学)
私立大の一般選抜は、概ね3教科の受験が基本となります。文系学部では主教科と言える国語・英語の他、地歴・公民や数学から1教科を選択する方式が、理系学部では英語・数学・理科の3教科というパターンが一般的です。その配点は受験する大学・学部によって様々で、全科目が均等配点となる場合もあれば、特定の科目の配点比重を高くする場合もあります。
また最近では、全学部・学科が同じ試験問題を用いて同日に試験を行う『全学部日程入試』や、受験生が都合のいい試験日を選んで受験する『試験日自由選択制』など、少しでも受験しやすくする方式も増えています。試験日が異なれば、志望する学部を何度も受験できるため、チャンスを増やせるという大きなメリットがあります。
また、地方に住む受験生のために、各地域に特別な試験会場を設置して、地元で受験できるように配慮されるケースもあります。これを一般に『地方試験』と呼びます。交通費や宿泊費、移動にかかる時間や体力消費を抑えることができるため、地方学生にとっては嬉しいシステムとなっています。
3-3. 学校推薦型選抜
学校推薦型選抜は、一般選抜と並び昨今主流となりつつある受験方式です。
一般選抜と最も異なるのは、出身高校の校長からの推薦状がなければそもそも出願ができない、という点です。「調査書の成績の状況が**以上である事」など、出願に必要な要件が設定されている場合は、誰でも自由に出願できるわけではありません。
学校推薦型選抜は、大きく『公募制』と『指定校制』の2種類に分かれます。
公募制は、大学が設定する出願条件を満たし、自分の高校の校長からの推薦があれば受験ができる制度です。指定校制は、大学側が指定する高校の生徒を対象とした選抜方式ですが、主に私立大学が行っており、1つの高校から推薦できる人数も予め決められています。
近年は、公募制では他大学との併願受験ができる併願制も増加傾向にあります。しかし指定校制の場合には、出願した学生が合格した場合は他を選択せず必ず入学するという制約を受ける専願制の入試方式となります。
3-4. 総合型選抜
総合型選抜とは、大学側がアドミッションポリシー(求める人物像を表記したもの)と合致する学生に入学してもらうために、小論文や面接などの試験を交え、受験生を評価するシステムです。日本では、1990年にはじめて慶応義塾大学の湘南藤沢キャンパスにおいて、(当時の名前で)AO入試が実施されました。
この方式の中で問われるのは「なぜうちの大学に入学したいのか、何を学びたいのか、それを将来どう活かしたいのか」という受験生の意欲、情熱です。アドミッションポリシーを正しく理解し、その大学への志望動機を自分の言葉でしっかり伝えられるトレーニングを行う必要があります。
そもそもこの総合型選抜は、アドミッションポリシーに照らした際に合致する受験生を見極めることを目的とするため、時間をかけて1人1人を丁寧に選考することになります。大学・学部によって出願資格や選考方法が異なりますので、事前にしっかり調べておいてください。
また、文部科学省は大学入試改革に伴って、総合型選抜も含め、あらゆる入試方式で学力評価(『知識・技能』『思考力・判断力・表現力』『主体性』)を行う方針を打ち出しました。そのため、今後の総合型選抜では、例えば英語の資格試験やプレゼンテーションなどの手法を通じて、各自の学力を試す方式が増えていくでしょう。
総合型選抜は9月1日以降に開始し、11月1日以降に合格発表するというスケジュールが文部科学省から定められています。夏休み明け早々には試験がスタートし、早い学生だと年内には合格を勝ち取ることになります。一般選抜に挑む受験生のことを思えば、かなり早い段階で合格通知を手にすることができる入試方式なのです。
総合型選抜を採用する大学と、募集定員総数は年々増加傾向にあります。2020年度から2022年度までの過去3年間では、総合型選抜を実施した大学数が39校、学部数が223学部、合格者数が30,719名と大きく増えました。2021年度に行われた大学入試改革を転機として、一般選抜の志願学生がどんどん総合型にシフトしているのです。2022年度の結果から見ると、全入学者の約58%が総合型、学校推薦型選抜で合格しています。
4. まとめ
今回は、大学入試の仕組みについてお伝えしました。 自身の得意教科や苦手分野を把握した上で、どの大学・学部への出願を志すのか、戦略的によく考えて行動するようにしてくださいね。